揺れ動く心境の変化が面白い!!
葛藤、後悔、絶望…登場人物達の移り行く心模様が読んでいて犇々と伝わってきます。
人は生きていくうえで常に境界線に直面しているのかもしれません…
超えなければいけない境界線…
超えてはいけない境界線…
東日本大震災という未曾有の災害がキッカケとなって超えてはいけない境界線を超えてしまった者、超えなければならない境界線を越えられなかった者たちの想いが錯綜する展開は思わず一気読みしてしまう事間違いナシ!!!
あらすじ
宮城県気仙沼市の海岸で女性の変死体が発見される。
身分書からこの女性が宮城県警の笘篠誠一郎警部の妻である事が判明する。しかし笘篠警部の妻は七年前の東日本大震災の津波被害によって行方不明となったきり。
現場で遺体を確認すると全くの別人であった…
妻の名前を騙られていた事に怒りを覚えた笘篠は事件解決へと向けて捜査を進めていく…
そんな最中、またしても全く別の名前を名乗って生活をしていた男性が公園で遺体となって発見される。
果たして二つの事件の繋がりとは…
感想※ネタバレあり
まず、この作品は宮城県が舞台となっているので宮城在住のわたくしd-dには馴染み深い地名がいっぱい出てきて普段読んでいる他の作品よりもシーンがより鮮明にイメージできましたね^_^
中山七里さんの作品は登場人物の感情の変化が色々な角度で切り取られていて読んでいて全く飽きないし思わず感情移入してしまうシーンが毎回多々あります!
今作は戸籍の売買がメインテーマとなっていますが正直この作品を読む前は個人的には直接誰かを傷付ける訳でもないし、そこまで重罪ではないのでは…と思っていました。
ですが読み進めていくと戸籍の売買というのが、いかに罪深い事で当の本人を冒涜する行為なのかを思い知らされましたね…
また犯人の鵠沼駿の人間像もこの作品の見所ではないでしょうか。
真っ直ぐな信念を持っている者ほど思考が良からぬ方向へ変化すると歯止めが効かなくなってしまうのかもしれません…
五代が、逃走に疲れて疲弊した鵠沼と再会した場面は何故か少し切なくて淋しい感じがして個人的には今作で最も印象深いシーンでしたね…
因みに今作【境界線】は宮城県警シリーズとして三部作になっているという事を読み終えてから知りました…^^;
順番は逆になってしまいましたが【護られなかった者たちへ】も読んでみたいと思います^_^
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